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キートン流喜劇論が認識できる。やはりラストの"復活"があってこその喜劇。

「キートンのハード・ラック(悪運)」
「バスター・キートン傑作集(2) [DVD]」(「ハード・ラック」「ザ・ハイ・サイン」「悪太郎」「即席百人芸」「漂流」所収)

「なんて、ついてないんだろう。仕事はクビになるし、彼女には振られる。しょうがないから靴磨きでも、と思って我慢して磨いてやったらそいつは金も払おうとしない。もうこの世の中がほとほと嫌になった」と、バスターは自殺を決意。いろいろと試みるが、やはり、ついてない。電車に轢かれたくても、電車が手前で止まって折り返し運転してしまうし、公園で首を吊ろうとしても、目撃者が警察に通報して邪魔されるし。一体どうすれば望みどおり死ねるんだろうと考えながら通りかかったレストランの裏窓、棚の上に「毒」がある。これだ!とばかり服毒するが、いっこうに死なない。実は毒というのはラベルだけ、中身はウィスキーだった。酔っぱらって気分が良くなったバスタ
ーは隣室で行われている動物園長主催の会合に出席。園長の「アルマジロを捕獲できる者にたんまりと賞金を出す」という一声に、自分がやる、と名乗り出る。野生動物を捕獲するのは、自然のなかでの気の長い勝負。まずは腹ごしらえ、と釣りを始めるバスター。次第に大きくなる獲物にいよいよツキが回ってきたかと、しばし思う。釣りを終えて、歩いていると目の前をアルマジロらしき動物が横切る。今だ、とばかりライフルをぶっ放すが、構えが逆だった。近くのカントリークラブ、紳士淑女が狐狩りへ出かけるところ。騎乗できずに困っているお嬢様風のヴァージニアを見かけたバスターは、これは出会いのチャンスかも、と手伝うことにする。案の定、ライフル持参のバスターは狐狩りに誘われた。途中で、はぐれて一人遅れて戻ってくると、クラブハウスは"トカゲのルーク"率いる盗賊団に襲撃されていた。バスターはヴァージニア救出に見事成功。その勢いを借って彼女に求婚することにした―。
キートン・プロのキートン監督・出演作の【第6作(米国公開日:1921年3月16日)】。キートン本人が最も気に入っていた短編といわれていますが、仕事を失い、恋人にも捨てられたキートンは、冒頭から自殺を試みるという、これまたブラックな展開で、こういうのが自分でも好きだったのでしょうか。野生動物の捕獲に出掛ける前に釣りに行くというのは唐突感がありますが(「まずは腹ごしらえ」しようとしたのか)、釣った魚を餌により大きな魚を釣るというのが可笑しく、十分な大魚を釣り上げてまだまだ続ける...コレを見せたかったのかあと。アルマジロは結局出てこなかったけれど(「巻物」とか訳されていたりもする)、馬と間違えて水牛に飛び乗ったり、熊に追いかけられたりと、動物との危険な絡みはどうやって撮ったのでしょうか。
ジョー・ロバーツ
大男のジョー・ロバーツ、今回は盗賊団の頭目"トカゲのルーク"でした(ヴァージニア・フォックスにセクハラしまくる)。ヴァージニア救出を成し遂げたにもかかわらず、その新たな恋にも破れ
たキートンは、プールの飛び込み台から飛び降りて(コレ、相当高い)、地面に激突(どうやって撮った?)、あっさりと死んでしまい、結局は自殺を果たした―と思いきや、何年か後に復活、家族を連れてまた地上に。チャイナ帽を被っているので、「チャイナ・シンドローム」('79年/米)ではないけれど、中国まで突き抜けていったのでしょうか。
公開当時の記録以外は、ネガ、プリントともに長期間失われていた作品。1980年代後半、偶然に東欧でプリントが発見され、映画史家のケヴィン・ブラウンローとサミュエル・ジルが当時のスクリプトを基に復刻を果たし、今日の再見に至っています。発見されたプリントはラストの約3分間が修復不可能なために、説明的な字幕とスチールによって再構成されているそうですが、粗悪な画調の中でも一貫したキートン流の喜劇論は認識できる佳作です(これ、やはりラストの"復活"が無いと喜劇にならないからなあ)。
「キートンのハード・ラック(悪運)」●原題:HARD LUCK●制作年:1921年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●製作:ジョセフ・M・シェンク●撮影:エルジン・レスリー●時間:19 分●出演:バスター・キートン/ヴァージニア・フォックス/ジョー・ロバーツ●米国公開:1921/03(評価:★★★★)
